私がいくら首を振っても二度、三度と絶頂に達しても止めてはくれません!
どれくらい続いたでしょうか…「それじゃ堅伸さん、私共も逝かせて貰いましょうかね…」
そう言う声を遠くで聞いて私は意識が遠退いて行ったのです………
そして今、広い本堂に敷かれた布団の上に、肢体を投げ出して横たわっています………………。
「さあ奥様、煩悩は抜けた筈です」
どちらかが言います…
私は朦朧とした気分です
「帰りますよ!小便を済ませて。…帯を締めましょう…」
まだ、遠くに聞こえます
私は、何の抵抗もなく辺りに洗面器を探し、跨がってオシッコを夢の中で済ませたのでした…
私は男の肩に手を置いて片足ずつ下着を穿いたのは覚えています。
襦袢の上から喪服を着せられたのも…
お坊さんの馴れた手つきで、シュッ、シュッと鋭い音を立てながら帯が結ばれていくのにも身を任せていました。
段々、意識が覚醒をしてきました!
私の前には作務衣をキチンと着た範良様と堅伸様が正座をしています。
大日如来を背景にして…
私は、そっと襟元に手をやって見る。大丈夫!私も喪服は乱れていません。
「奥様。奥様を苦しめた煩悩は去りました!新しい朝を迎えます!これから車でお送りします。御自宅で、ぐっすりと眠るといい!…ただ、煩悩というものは溜まる!その時はここに連絡を下さい
抜いてあげましょう!
臨床心理の分野で……」
私が自宅で床に着いたのは午前三時半過ぎでした
…目覚めたのが十一時!
スポーツの後の心地いい疲労感、倦怠感がありました………。
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恥ずかしい後日談があります。
あの日以降、気分がすっきりとして、毎日を安らかな気分で迎えることが出来るようになったのです!人の言葉も笑顔で聞ける!イライラも、悶々とした思いもなく…
人は「明るくなった。綺麗になった」など言ってくれます。…夫の三回忌を済ませて、一安心したからよ…とごまかしてはいますが。…「煩悩が溜まる」という感覚は自分では判りませんが…三ヶ月に一度、伊勢のお二人の元に出掛けています!内緒の一泊!(恥)