表向きの今日一日の仕事が終わろうとしていた。
電光ニュースの掲示板は 22:00を示していた。
…120枚か!
残りのチラシの束を数え、今日配った数が判る。
運転席のリクライニング を倒してタバコに火を付けた。 紫煙と共に深く長いため息が洩れた…。
道路の対面には20店以上の主婦向け貸金業社の看板が縦に並んだビルのエレベーターが見える。
私はこの駐車スペースを月極めで契約してある。
そのエレベーターから降りて来た女を瞬時に値踏みし、動物的な勘と匂いを嗅ぎ分け、配ったチラシが 120枚!
実質的な仕事は、これから一時間半。23:30まで!チラシに明記してある。
300人〜350人の女がエレベーターから降りて行ったろう…………その内、
体型!ポッチャリ系は、NG!…身長!155?以下、NG!…年齢!40才以上はNG!……顔貌!並以上が OK!……この四項目を少なく共五秒以内に脳内篩にかける!篩に残ったのが 120人と言うことになる。
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22:00〜23:30、運命の一時間半!電話下さい】
私はチラシを読み返しながら、電話を待った。
掲示板が 22:30を表示。
8件の無言電話があった。ここの他に二カ所に配置した拠点からNo.3携帯に報告が入った。
バイトの隆が168枚と紗耶香が85枚のチラシを配った…どうも、隆が甘い!紗耶香の方が遥かに的確のようだ。脳内篩が!
360人余りの対象者からの電話を待つことになる…。電話が鳴るのが一割。
その内、モノになるのが二割か?!私は目論む。
電話を受けて、彼女達を男に斡旋するのが私の仕事である。
私が開発したルートでは今、需要の方が多い。
但し、上級品が!
「もしもし、もしも〜し!チラシお読み頂いた方ですね?お困りですね?」
「はい、あの〜結婚してます、いいのですか?」
「あっ、意味をご理解頂いておりますね、結構です!ご都合いい日時に面談、可能でしょうか?」
気が楽だったのは 100%「身体で返済をする」という前提で彼女達は電話をして来ることだ。
この日、五人の面談日時を決めて23:30を迎えた