｢将門くんが助けてくれたんだよ｣
｢殴られる！｣とそう思った瞬間、僕は目をつむった。殴られるはずだった僕の変わりに…上級生が倒れたんだ。
何…どうしたの…。僕は不思議に思い顔を上げた。
｢おい！お前大丈夫だったか｣助けてくれてたその人は、僕なんかよりずっと大きくて、身長なんて180センチぐらいは余裕でありありそうで、ガタイもたくましく、顔なんてめちゃかっこ良かった。染めている赤茶な色の髪に深い漆黒の瞳、鼻筋が通って凛々しい厚いくちびる…。
僕は彼を見つめるだけで、頬が熱くなるのが分かる。
｢おい！なんか返事しろ｣粗野な言い方だけど、僕を気遣っているのが分かる。やっとの思いで彼に答えた。
｢あっ、ありがとうございました、もう少しで殴られる所でした。本当にありがとう｣僕は何度もお礼を言った。
｢今日は気まぐれだ、助けたつもりはない、じゃあな｣
立ち去ろうとする彼の腕を掴んで引き止める。
｢あの、名前は…。名前を教えて下さい！｣
彼は、僕が掴んだ手を外し、何も言わず行ってしまった。
｢腕、触っちゃった｣僕は…彼が触れた手をそっと触れる。
触られた箇所が熱を持ったようにジンジンしてる。
｢僕、どうしちゃったんだろ？｣
僕は、助けてくれた彼が気になっしかたがない。
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