「湊斗(みなと)様問題の方は進みましたか?」
そう言いながら、俺のノートを覗いてくる。白いままのノートに、奴は眉をひそめた。
「なんだよ、解らないからだろ」と悪態をつく。
「そのような簡単な問題に何分掛かっているのですか?」奴はため息をつき、馬鹿にしたように上から目線で言ってくる。
「何だよ、どうせ兄さんと違って出来が悪いよ」
「そうですね。友紀斗(ゆきと)さんとは、えらい違いですね」とても足下には及ばないみたいな口調で言うんだ。憎たらしい。
「「兄さん、兄さんお前の頭の中には友紀斗兄さんの事しかないのかよ!」
「おや湊斗様、友紀斗様にヤキモチですか?」かわいい事も有るもんだと、肩を揺らして、ククッと笑っている。
「ヤキモチじゃない!お前なんか大嫌いだ」
ムカつくあいつを強引に部屋からだそうとすると…
「良いのですか?私が居なくても勉強がはかどりますか?あり得ないでしょ!我が儘言わずに、机に戻りなさい」ピシャリと言われたが、俺は引くに引けなかった。
「出来る!出来るさ。お前なんか居なくても、大丈夫だ」早くでてけと!追い出した。
「なんだよ、彰久(あきひさ)のバカ…兄さん事ばかり褒めてさ…意地悪な…彰久」
「俺はこんなに…彰久が好きなのに」