トイレから出ても、伸二はアタシの手を握ってくれた…
(あ…プレイは…終了?)
照れ隠しもあってアタシはそう言った。
伸二は、気まずそうに握っていた手を離した。
(あ…そう…だね)
寂しそうに微笑んだ…
しばらく無言で街を歩いた。
「今日のプレイ、結構良かったよ。」
「え、そうか?」
「うん、なんか役にハマっちゃって、ニヒヒ、トイレも、スリルがあって興奮しちゃった」
「オレだけ満足しちゃって…」
「いいよ、別に」
帰りの電車の中で隣に座ったけど、アタシ達は普段と同じで無口になっていた。
「麻緒…」
「なに?」
(手…握ってもいいかな…)
「え?…いいよ、別に」
どうしたんだろ。伸二ったら遠慮がちにアタシの手を握る。
普通にすればどうってことないのに、構えちゃうから、他の人もなんか気を遣って視線をそらしてる…
アタシの方が恥ずかしくて…
どうしてこんなんだろ…今日の伸二…変…
アタシの駅が近付いて来た。
(今日、楽しかったよ)
(うん)
(お前…ステキだった)
え…
今までそんなこと言われたことないアタシは照れ臭くて逃げるように別れた。