部屋をノックする音がする
「失礼致します、湊斗様お勉強の進み具合はいかがでございますか?」
俺は慌てて、涙を拭った。
目ざとい彰久は、不審に思い俺の元に近づいて来た。
「湊斗様…どうなさったのです。なみ…」
「違う!汗だからな…全く違うし」
泣いた事が恥ずかしくそんな風にごましたが
彰久はため息を付き
「もしかして、私が言った一言であなたを傷つけたのでは…」
彰久は俺の濡れた瞳にすっと指をあて…拭った。
不意にあいつの指が触れて…ドキドキする。
「湊斗様…申し訳ありません。あなたを泣かせてしまうなんて、私は駄目な執事ですね…あなたに…相応しくない」
執事失格です。なんて口走った。
「待てよ、確かにお前のせいだけど…でも違うからな。お前は、悪くないから…」
彰久は目を見開き…
「意味が分かりませんよ、詳しく話して頂きましょうか」
「う゛〜、」
「早く言わないと、イタズラしますよ…」彰久は楽しそうに俺を見つめてる。
こんな楽しそうな彰久を見るのは、初めてだった。