それからひと月…
彼は今日出張から帰って来た。
辞令がでて、彼は正式に係長になった。
私達は大仕事にカタがついて、改めて二人でお祝いすることにした。
夜景がきれいなホテルの一室…
「お帰りなさい。それから…おめでとう。西岡係長」
「ありがとうございます。照れくさいな。…主任が推してくれたんでしょ?なんか…いいのかなって思ってしまいます。」
ワイングラスを傾けた。
「あなたの部下になるって、複雑ではあるけど…私は嬉しかった…」
「あなたに仕事の指示なんか…出せるかなぁ…」
「…出して下さい…何でも言い付けて下さい…」
「ホントに…?」
「ハイ…あなたのためなら…何でもするわ。」
私達はワインを進めた。
彼のグラスに注ぎ足そうとすると、彼はグラスにふたをする。
「もう飲まないの?」
(ううん…)
彼の目がアタシを見つめて甘く揺らいだ。
(主任…ボクの初めての指示に従ってもらえますか?)
(ハイ…なんなりと…)
アタシ…ドキドキした…
(ボクに…ワインを飲ませて…)
私は口に含んで、甘えた目を閉じる彼の唇に重ねた…