「ホテルは…任せてもらえますか?…」
運転しながら彰は言った
「綺麗なお部屋…」
私は先程のセックスの余韻に浸りながらけだるく答えた…。
「新しくオープンしたラブホに行きましょう…」
彰は馴れたハンドル捌きで進めて行った。
やがて着いたホテルはトロピカル調に作られていた。フロントに写真付きの部屋のインフォメーションパネルがあった。
「どれがいいですか?奥さん、選んで下さい!……おッ、これ、凄い!」
と、彰は声を上げた。
見ると2F全室がSM仕様になっていて、パネルには『マニアには堪らない!究極のSM部屋』と書かれている。
「綺麗なら…何処でも構いません。彰さんは、このお部屋がいいの?…新しいからどこも綺麗そうだし…私は構わないわ」
私が言うと彰は
「行って見たいけど奥さん…SM部屋ですよ!いいんですか?」
私の顔を見ながら言った
「だからと言って、それをしなきゃならない訳?じゃないのでしょ?構わないわ!楽しければ……」
私は 205号室を押した。
エレベーターを降りると矢印に沿って、205号室のドアのランプが点滅していた…窓辺に近づいてレースのカーテン越しに外を覗いて見た。
何と、中庭を囲んで、口の字形に建物が造られていて、しかも部屋の一部がベランダ風に出っ張りモスブラウンのサンルームになっている。
数えてみると正面に四部屋のサンルームが見える
2、3m離れて左右両隣のサンルームも見えた。
部屋を見回すと、天井から数本のチェンがぶら下がっていたし、壁にはXの字の柱があって両手両足を拡げた手首、足首の辺りに拘束ベルトが取り付けてあった。
ベッドの脇には産婦人科の診察椅子風のキャスター付き椅子。その他の空きスペースの壁、天井は全て鏡が張ってあった。
「…凄いお部屋ね!…」
言いながら私は浴室を覗いて見た…広い浴槽の他に階段を登った上に、もう一つ、浴槽があり底が透明になっていて、下から見えるようになっていた…タイル張りの広い床 の隅には、和式、洋式の便器…壁にはエヤーマットが立てかけてあった。
更衣室に出てトイレを探したが見当たらなかった
「彰さん!使わないでいいとは言っても…このお部屋の設備、凄い造りね」
私は、なお、見回しながら彰に言った。