「あ、もしもし205ですが…はぁ…はぁ…201号室ですね?……」
電話は長くなりそうだった。私はバスタブにお湯を張り、コーヒーを入れ始めて、やっと彰の電話が終わった。
「奥さん、201号室のお客からの電話なんですがね…不倫カップルらしいんですが…鑑賞プレーをしませんか、だって。マスクをつければ、どこの誰かも判らないし…もう顔を会わすこともないからって、言ってます」
「彰さんは、どう答えたの?私は車の中で約束した筈よ!この部屋、このベッドの上でだけは、どんな淫乱な女にでも変身しますって。私は彰さんの決めた事に従います。外から見られても、外が見えても仕方ないでしょ?
但し、痛いこと、傷つくこと、不潔なことは出来ません!」
コーヒーを運びながら私は言った。
「私、自分が責任持って決めて…その方向にグイグイ引っ張ってくれる男性が好きです」
私はサンドイッチを机に拡げながら言った。
何秒かの後彰は電話の子機を握ってボタンを押す
「あ、もしもし、205です先程の件、OKですよ!で、どうすれば?はい…はい…マスクですね…はい…サンルームで…了解です!はい…それでは」
コーヒーを一口、啜って彰はビニール袋から赤い衣類を取り出した。
「奥さん、これ、着て下さい!色っぽいと思う!他の男に見せるなら、奥さんを最高の女で見せたい最高の淫乱な女で見せたい!私のプライドです」
「彰さん…ありがとう!」
それを受け取り私は立ち上がって彰の目の前で裸になった…。
ヌードの上からそれを羽織った。真っ赤な襦袢だった。当然、織りは荒く透けて見える安物ではあったが、嬉しかった。
付属品の帯を簡単に前で 結んだ。
「他の女性に負けないわ…思い切り淫乱な女性になっていいのね?」
私はその場でクルっと回転して見せた。
「綺麗ですよ、奥さん」
彰がそう言った時、又、電話が鳴った。
「はい!はいそうです!はい…204ですね!お隣りですね!了解です!サンルームでやりましょう!後ほど電話します」
彰は電話を切った。
「素敵よ、彰さん…」
私が言うと彰は額の汗を手の甲で拭いながら、
「冷やかさないで下さい奥さん!…隣室にも了解しましたからね!あ〜暑い…照れますね」と言った。