「此処だ、この建物の中から聞こえる」
そこは何かのまじないの類いの物が置かれている店だった。 俺は店の中に入り声の主を探した。
「いらっしゃいませ、何をお探しで」
店の主人らしき男が俺に近づいてくる。
「あんた、この店の主人か?この店にあんた以外の人間は居ないのか?」
店中を探しても店主以外の人間を見つける事は出来なかった。
「この店には私以外は働いておりませんよ」
だがよく聞くと店の奥から声は聞こえて来ていた。
「ちょっと失礼するよ」
店の奥に行こうとする俺を店主が止めようとした。
「ちょっと待ってくださいよ、お客さん困りますね、そっちは倉庫ですよ」
店主に止められた俺は先に進めなかった。
「御主人、この店の奥を調べさせてもらいます、怪しい声が聞こえたものですから」
俺の足を止めていた店主をイヴが無理矢理どかせた。
「何をするんですかっ!ガキが一体何のつもりだっ!」
高声を上げてイヴの肩を掴んだ店主の手をとりイヴは店主の顔を睨み付けた。
「離しなさい、私は拳闘士隊隊長イヴです、この店の奥から声が聞こえる声を調べさせてもらいます」
イヴは手首に着けているブレスレットに刻まれた紋様を店主に見せた。