「ユウ!!」
桜を見上げていた影が、ギョッとしたように振り向いて…俺はその場に固まってしまった。
ユウじゃない。
ユウじゃない、ユウじゃない、ユウじゃない!
「…あの…もしかして…ハガネさん…?」
?
ジーンズに薄手のブラウス…灰色のニットという出で立ちから少年だと思ったのだが、声からすると少女だった。
…そして、そう。
彼女はユウに似ている。
背格好だけじゃなく、あの印象的な透明感のある瞳が似ている。
「…君は」
少女は驚きのあまり震える声で囁いた。
「本当に…本当に?
信じられない…」
少女はその場にへたりこんで、俺を見上げた。
「…ユウ…」
少女は呟いて泣き始めた
見たことないくらいの号泣だった。
俺はわけもわからずただ、呆然とその場に立ちすくみ…目の前の少女を見下ろしていた。