「美月先生〜、もう帰って良い〜?」
「ダメです。澄越さんたち、席に戻ってください。あなたたち三人は、さっき出席とりましたから、あとは新島(ニイジマ)さんと氷牟田(ヒムタ)くんね。」
新島律子(ニイジマ リツコ)という、いつも何か本を読んでいる近寄り難い雰囲気の女子生徒。
必ず朝早く来て、ずっと寝ている、氷牟田亮司(ヒムタ リョウジ)。そして…
「…百合原くんも来てくれたんだ。」
百合原倉真(ユリハラ クラマ)が出席となり、出席チェックは終わった。
この時、美月の頬がほんのりピンク色に染まったのを誰も気づいていなかった。
「百合原くん、ちょっと来てください。」
廊下に呼び出され、倉真は戸惑った。
「な、なんスか?」
「あ、あのね。今日これから学校はお休みになる予定なんだけど、百合原くん時間あるかな?」
「え?」
「私のウチに来てほしいの。生徒にこんな事頼むなんて非常識なのは十分、分かってるんだけど…昨日からのすごい雪でウチの屋根にたくさん積もってて…。」
倉真は面を食らった。
確かにすごい雪ではあったが、まさか屋根の雪下ろしを頼まれるとは。
「え〜…っと、珍しい頼み事…ですね。」
「私一人暮らしで、今来てる生徒の中で男の子で、一人暮らしなのって…。」
「てか氷牟田と俺しか男子いませんでしたしね。そうか、氷牟田の家の親とかに知られると面倒スからね、良いですよ。」
「ありがとう…!!屋根が落ちてくるかもって怖くて…。夕飯ご馳走するね!」
美月は途端に元気になった。
学校が休みになるなら時間は空く。
倉真は気軽に返事をした。