「…というわけで、今日は午前で放課!せっかく来てくれたので皆さんはそれぞれ先生方の車で家まで送ります。」
三春たちが喜び、氷牟田がそれに反応してゆっくり起き、新島は本を鞄にしまいはじめた。
「新島さんと百合原くんが私の車で、氷牟田くんと澄越さん、遠藤さん、日向(ヒュウガ)さんは…」
「はいはーい先生〜!なんで私とか佳乃…ぇっと、日向さんとかは先生の車じゃないんですか?」
三春の明るい声が響いた。
「先生の車は狭いし、新島さんと百合原くんはお家の方角が一緒なの。今度機会があったら乗せてあげるから。」
美月は苦笑しながら三春をいなしたが、内心は動揺していた。
しかし、理由としては自然であり事実二人の家は同じ方角だった。
「は〜い。」
倉真は美月に目配せし笑いかけた。
美月は前髪を撫で、顔を少し赤らめたのを隠した。
この二人の様子を眼鏡越しに新島律子は静かに見つめていた。