「あの魔法はっ!!｣
ルルがはっとした様子で少女の体に蒼白く燃える焔を見たかと思うと､ルルも少女に魔法を放つ。
「ストリームｯ!!｣
ルルの放つ魔力が少女を包んだかと思うと少女の体を包む焔が徐々消えていった。
「間に合った…｣
「な…なぁ､何したんだルル？いきなりあの子が燃えたかと思ったら､あの蒼白い焔が消えたぞ？｣
俺は改めてみる魔法の力に訳がわからなくなった。
「相殺といいます､あの男が使った魔法は焔の魔法､そして今私が使った魔法は対象の相手に風と雨を浴びせる魔法､その２つの魔力が互いの魔法の力を殺しあったんです｣
「なんか複雑だな…｣
俺達の存在に気付いた男が此方に向かってきた。
「なぁ姉ちゃん､この俺の魔力を相殺するとは只者じゃないな､一体何者だ？｣
「私はルーンの魔法隊､総隊長ルル､貴方こそ何故､ヘルの呪文を使えるの？あれは魔界から焔を呼び出す一種の召喚魔法､貴方みたいな凡人には到底扱えないはず…｣
ルルは男の力の秘密を探っていた。
たった今､あの男が使った魔法がかなり高度な魔法で在ることがルルの言葉から感じ取れた。
「なぁリリス､あの子助けれるか？｣
「はいっ!任せて下さいっ!｣
リリスが倒れている少女に向かい走った。
「酷い……｣
リリスが見た少女の姿は悲惨なもので焔の魔法のせいで全身に火傷を負い皮膚が爛れていた。
「急がないと｣
リリスが少女に両手をかざし意識を集中させた。
「ヒーリングｯ!｣
アクラの足にかけた回復魔法よりも強い金色の光に少女の全身が包まれた。
「ほう…あの姉ちゃんも相当なもんだな､なぁ姉ちゃん俺と一緒に組まねえか､姉ちゃんみたいな女なら大歓迎だぜ｣
「お断りよ…､それより何故貴方がそんな高度な魔法を使えるわけ？｣
男の誘いをあっさりとはねたルルは再び俺の魔力の秘密を聞いた。
「俺がそんなにお喋りに見えるかい？まぁこの次に会ったら教えてやるよ､但しその時にやり合って姉ちゃんが生きていたらの話だけどな…クックックッ…｣
不気味に男が笑いそのままスーッと男の体が目の前から消えた。
「一体何者…スランクは武闘派の男…呪文使いじゃ無いはず…なのにヘルの呪文､それに今のあれはワームホール…｣
ぶつぶつと呟くルルの顔が険しく見えた。
[3054] 
[1] 
[0]
