「なあ」
イッコうえの吉岡葉瑠(ハル)先輩が、俺の頭を撫でながら聞いてくる。
所有物に対するその態度に馴れたのはいつだっけ?
「なんすか」
気だるい。
俺寝そうだな…。
「なんでお前ってヤッてるとき眼鏡外さないの」
…。
ん?
確かに何でかな(笑)
「さあ…先輩が外せっていわないからじゃないすか」
葉瑠先輩は笑って俺の額にキスした。
「お前のそうゆーとこ、俺好きなんだよな」
嘘つき。
俺はニヤッと笑って、目を閉じた。
「風見ぃ…」
甘ったるい声。
ちょっと待て、ヤッたばっかじゃんかよ〜(>_<)
葉瑠先輩の、冷たい目が俺を見下ろす。
愛してる、とか好きだよとか嘯きながら決して笑わない瞳が。
それで。
困ったことに俺はその目に囚われるんだ。
俺自身を映す切れ長の目から抜け出せない。
先輩の怖いくらい片付いた部屋に、俺の制服だけ散乱してるのと同じように
俺の心も、先輩の指で散乱していくみたいだ。
俺たちって…何だ?
先輩の歯が、俺の耳たぶを噛んだ瞬間、そんな疑問も消えてしまうんだけど。