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専務夫人 ?

部長  2010-02-02投稿
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私は今、ある会社で部長職に就いている。
未だ独身の身で部長になれたのは専務の奥さんのお陰だと思っている…。
同期入社の同僚の中でも、三回は特進を繰り返し私以外の同期では係長が最高職で、私が引き離している。

内心では忸怩たるものがあったが、最近ではもうそれも薄らいで来た。
と言うのも、専務夫人との肉体関係を出世に利用した負い目があったからだ!

しかし、それはそもそもきっかけは専務が私にくれたと思っている。
私の会社は、世界に誇る某自動車メーカーの内装パーツを製造する、関連企業ではNo.3の立場にある会社である。もちろん、出資比率は、その自動車メーカーが51%を保有しているのだが…

会社には社長の下に 4人の常務と専務が 1人。
四人の常務は技術開発を含め技術部門をそれぞれ分掌する。
専務が事務系統を一手に握る。
事務所ビルには 400人の事務屋が在籍している。
そのトップが専務だ。

私は当時、人事課に所属していた…。まだピイピイの平社員だった。

ある日の昼休み。
殆どの社員が1Fの食堂に降りていた時だった。
突然、専務室のドアが開いて、当時の部長が顔を覗かせた。
「おう、高橋!お前一人か?他は?そっか、昼飯か!…ちょっと、ちょっと、来てくれんか!」
と私を手招きしたのだ。

「何かご用事でも…?」
私が畏まって部屋に入ると専務と部長が二人で頭を付き合わせて話をしていた。
私はしばらく立ったまま、待ったが二人は見向きもしない。
私は横の炊事セットに行きコーヒーカップ二個にコーヒーを炒れ、二人の前に運んだ。

「おう、気が利くじゃないか、ありがとう。……君は?…名前!なんてったっけ?」
専務が部長と私の顔を交互に見ながら言ったのだ
「ああ、失礼しました。人事課の高橋君です。若手のホープでして…」
と部長が言って、
「高橋、今から専務のお使いを頼む。ご自宅から書類を貰って来て欲しいんだ、奥様が居られるから…夕方まででいいから」
と言った。

私はてっきり社用車の運転手付きでだろうと思い
気軽に了解の返事をしたのだった。
「高橋くんか、すまんな!ついうっかり忘れものをしてしまってね。女房に電話して置くから、スマンが取って来てくれんか…家は判るかな」
専務は名刺ケースから名刺を一枚抜いてくれた。

「重要書類なので運転手に頼む訳にいかずに…」
と言って専務は電話を握った。

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