『もう着くからちょっと休憩な?』
周藤は、そう言ってブラックコーヒーをイッキ飲みするとシートをたおして横になった。
もう一度、何処へ行くんですかと聞いてみるけれど、無視なのか、疲れているのか、返事は返ってこない。
はぁ…なんだよ。
カフェオレを飲みながら周藤を恨めしそうにみる。
身長180?(推定)。やせ形。でも肩幅はしっかりあって。だから悔しいけど、今日みたいな革ジャンがよく似合っている。…デニムの裾あげ、まさかしないんじゃ!?
俺なんか 余った生地で小さめのポーチ、母さんが作ってたな…。
顔はー。まぁ、悪くはないんだろ。なんか悔しいから詳しく聞いていなかったけど、スタッフやお客様には評判がいいらしい。周藤目当てで来る―とか。
性格がよければ、と俺は思う。前の店長ほどとは言わないが(そこまで期待したら申し訳ない)、会話くらいきちんとしてほしい。仕事も終わらせて帰ってほしい。…『果たし状』も無しだ。
車の中。高く昇った太陽が少し染めた周藤の髪をキラキラと照らす。周藤は気持ち良さそうに眠っている。気付かれないように少し近付く。顔は―まぁ、悪くはないのにな。なんて考えていたら
―パチッ。
あっ!!
…。
周藤が目を覚ました!
ヤバィ。。
慌て離れようとする腕を捕まれた。すごい力だ。
『今…寝込みを襲おうとしただろ?』
周藤は楽しそうに聞いてくる。
『ま、まさか!!誰が…!…』
ん…!
言いかけた俺の唇は周藤の唇で塞がれた。
ん…んんっ…!?(なんで!?)
やっと離れた周藤の唇から出た言葉は…。
『襲うなら正々堂々と襲え!…俺みたいにな♪』
だった。この旅の先、何が待ってるのか…。考えるのも嫌だ。コイツは信用ならん。