「乗るのは今日初めてだよね」
原簿を見ながら話す長谷川。
「あ、はいっ」
「じゃあまず、見本見せるから」
原簿を手帳に挟み、片付ける長谷川。
「シートベルトして」
「は、はいっ」
急いでシートベルトを引っ張る。すると、なぜかガチッと引っ掛かって上手く引っ張れない。
「あ、優しく引っ張ってね」
どうやら一気に引っ張ると、ストッパーがかかるように出来てるらしい。しかし、緊張して慌てている亜希は、ついつい一気に引っ張ってしまう。
ガチッ…ガチッ…
「あっ…あぅ…///」
「いや、だからさ(笑)」
少し、馬鹿にしたように笑い、亜希にグッと近寄る長谷川。
「!!?」
「ゆっくり」
スルスル〜ッと、亜希のシートベルトを引っ張り、カチッと止める。
「次は自分でしめろよ(笑)」
「…」
「…?なんだよ…」
「えっ…?!あっ!すみません!」
異性がこんなに近くに寄るのは初めての亜希。見とれてしまった。
「じゃあまず、エンジンをかける」
キーをひねり、エンジンをかける。
「次に……」
長谷川をジーッと見つめ、ふと左手を見た。薬指には指輪が光っていた。
「……おい、聞いてる?」
「……はい(・∀・)?」
「てめコノヤロ!教習は真面目に受けろ!」
「あっ…ごめんなさいっ!」
「全く…。お前、変な奴だな。ハイハイ言ってたかと思ったら急に黙り込んで。どーした?」
「(先生にホレたかも…なんて言えない(汗))えと…緊張してて」
「ふーん。俺が良い男だから?」
ニヤッと笑う長谷川。
「んなっ…///違います!車を運転するのが初めてだからですっ!!勘違いしないでくださいっ///!!」
「…プハッ(笑)緊張してねーじゃん。可愛いなお前(笑)」
「ぇ…///」