『…到着っと!』
あれから10分くらいで本日の目的地に着いた。あの時コンビニで引き返すこともできたのに、寒さに負けてついてきてしまった。
着くなり先に降りた周藤はジェントルマンみたいに助手席のドアを開けた。わざとらしく一礼する周藤に、イラっとする。
『…ここって』
聞かなくても分かる。重々しく構えた門。奥には立派な境内があって―。
『神社?お寺?』なんだってこんな雪の中。チラっと周藤をみた。まだ何も答えてもらってない。
『ああ。俺、今年厄年だから。初詣行かなきゃなと!…お前、ヒマだったろ!?』
周藤の言い分はこうだ。
確かにヒマだったさ。初詣だって嫌いな訳じゃない。
でも。
コイツとは嫌だ。
“果たし状”を突きつけられて、いきなりキス…されて、ヒマだと決めつけられて。
なんて考えてると ボスッと何かが背中に当たった。
『ははは!ダセ!』雪玉を丸めながらはしゃぐ周藤。
コノッ!!
お返しに特大のを周藤の頭めがけて飛ばす。
ドサッ!!
うわ〜そりゃヒデェよ〜、なんていいながら頭を揺らす周藤。砕けた雪のかたまりがサラサラと周藤の髪から落ちる。
…。
綺麗だな と思ってしまった。