それから俺達は敷地内を見て回った。デカィ龍の描かれた屏風とか、へんな形の燈籠とか。三賀日も過ぎたというのに 結構な参拝客にもみくちゃにされながら。
離れるなよ?
時々遅れる俺に差し出される手。
その度に振り払う。
周藤は苦笑するものの何も言わない。俺がムキになってるのだってきっと知ってる。
大股で周藤の後ろを歩く。雪で足がとられるけど仕方ない。“勝手知ったる”と歩き出す須藤と違って、俺にははじめての場所だ。人混みで迷子なんて御免だし。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ
足元に気をとられて。
気付くと周藤がいない!
まさかと振り返るとかなり後ろに須藤がみえる。そこから小さな小屋を合図すると入ってしまった。
ザザッ 、ザザッ、
戻る戻る。すごろくみたいだと思った。順調にすすめたと思ったら“ふりだしに戻る”みたいな。
途中何度か転びそうになりながらも小屋に着いた。
扉を開けると いらっしゃいませ〜 の声と同時に暖かい空気に包まれた。
はぁ〜…あったか〜
コートを脱ぎながら見渡すと左側の一番奥の席で周藤が手を振っていた。