「コピーなど取っていません本当です」
「判りました。三日後には間違いなく私から電話を入れますから」
「あのぅ、これは…どうしたら…」
霞はショルダーを撫でて聞く
「ああ、商品?…そうですね、この書類とセットですよね。コンビニでビニール袋を貰って、全部入れて…しっかりセロテープで封をして私に下さい私が書類とセットで三日間、預かります。私、中身関心ありませんから」
霞は5分程で店から出て来て、私に頭を下げてビニール袋を差し出して、
「よろしくお願いします。…あの、先程、非通知でお電話を頂きまして…私の方から電話が出来ません。お電話番号を教えて頂けませんか?せめてお名前だけでも…」
「いえ。電話も名前も教えられません。三日後には必ず約束を守って電話を私から入れますから」
ナンパする気もないし、ましてや万引き女に電話番号や名前など教える気はなかった。
警察沙汰にでも巻き込まれたら大変だ。
多分、こんな書類を作らせたこと自体が違法だろう。
「判りました。電話をお待ちします…本日はご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」
深く頭を下げて霞は踵を返した。
家を出た時の勢いはなくトボトボと後ろ姿は見えた…肩は落ちて。
私はコピーを畳んで内ポケットに刑事ドラマのように納め、商品をキャスター鞄に入れながら、もう一度、霞を見た。
一瞬、私の頭を「不吉」がよぎった!
自殺でもされたら??
私は慌てて霞の後を追い掛けていた!
「奥さん!私が一方的過ぎましたね。奥さんとしても言いたいこと、あるでしょう。電話番号は教えられませんが、メルアドなら…それでよろしければ…何かありましたらメールででも…」
「えッ、あ、助かります!ありがとうございます」
「携帯を貸して下さい」
私は強引に霞から携帯を受け取り、メール作成画面を表示して、私のアドレスを打ち込んで空メールを送信し、携帯を返した。
私の待受画面を霞にも見えるように開いた。
空メールが着信した。
そのアドレス宛てに返信メールを作成した
?「私の名前は 京平…
明石 霞さんですね?これが私のアドレスです。
私を信じて。…三日間だけは旦那さん子供さんに話す必要はありませんよ!奥さんの気持ちも含め考えて見ます。私は警察ではないし、奥さんを罪に陥れるのが本意ではありませんから…何かありましたら、メールでも…」
クリック?…発信、完了!