次に姿を現した霞の服装もセクシーなものだった。
重厚なワインレッドのドレス。
小柄にしては豊満な乳房を包んで、深く切れ込んだVカットデザイン。
見えるか見えないか程のプラチナチェンが胸から首に掛けられ胸元のドレスを吊っている…。
「楽器、曲目、雰囲気に寄って衣装も変えています……」
ソファに座った霞は髪を左右に振り、髪を後ろに高く束ねクルクルと巻き大きなクリップで無造作に挟んで留めた。髪が上後方に引っ張られたため、目尻が引き上げられキリッとした表情に変わった!
それもカメラに納めながら私は(このヤロー!)と内心思った。尚も霞は立ち上がりカメラを意識して部屋を一周した…
「ヴァィオリンに合いますか…どうか…」
『バ』ではなく『ヴァ』と言った。?????
背中はUの字にカットされて臀部までえぐれている。
私は(バカにしてんのか)と心で呟く…
「いや〜、素敵ですよ霞さん。雰囲気がガラリと変わりますね。いいです」
二つのカップにコーヒーを注ぐ霞にカメラの中から私は言った。
「ピアノもヴァイオリンも体力を使います。腰って体のカナメって書くでしょ。ホントに重要ですね。動きとか…腕の力、手首の動きとかも…共通しますかね」
さりげなく言って、私にカップを奨める。
「重要…です…ね…」
私は精一杯に言った。
霞はコーヒーを美味そうに飲み終わると立ち上がり、
「早く、終わらせましょう時間もありませんから」
と言ってバイオリンを構えた
この年代に有りがちな下腹の膨らみも全くない。
ドレスを透しての下着の跡にも気を使って薄い下着を着けているのだろう、形さえ見せていない。
小首を傾げるように顎に楽器を挟んだ姿も、30台前半にしか見えない。
私はゆっくりと霞の周りを回りながらカメラを回したそして霞が深々と頭をカメラに向かって下げて…長い長い、無駄な二曲の演奏が終った。
私は昨夜、考えた、撮影中の音声ダイヤルの操作が作戦通り出来たことに満足していた。
私は一先ず、二台のカメラを止めた。
「ああ、疲れました!私、ここまで丁寧に撮って頂いたの、何年振りかしら…ここまでを見せて頂いてよろしいですか?」
と言う。私はテープを巻き戻し、再生して霞に画面を見せた。その足でトイレに向かった。
トイレの中でバイアグラを一粒口に入れ、かみ砕いた。
半分程をトイレに吐き出す。
トイレから出ると部屋はカーテンが引かれていた。
「ありがとうございます、良く撮って頂いて…前の、いえ今の演奏が判ります…」