「律子…さん。あれから一週間経ったけど、アイツらに何かされなかったか?」
律子の読書を遮ったのは倉真だった。
初め、クラスの何人かは驚いていたがもう今は反応する者はいない。
「¨律子¨で良いって言ったじゃない。特別変わった事は無いけれど、先生が心配…。」
三春達も澄ました様子で、授業を受けていた。
この一週間までは。
チャイムが鳴り、男性教師と美月が入って来た。
「笠倉先生にはこれから保健体育の保健の方を担当してもらう。体育の方は通常通り私が…。」
「こ、これからは2グループに分かれて授業を受けてもらいます。」
教室内は多少ざわめいたが、美月が征した。
「では…このグループで…。」
黒板に貼り出された名簿には、あの雪の日のメンバーと、その他一部の男子生徒が、保健の授業を受けるグループとして割り当てられていた。
「あの豪雪の日に…、来てくれた人たちは特別に保健の授業を優先して受けてもらいます。さすがにこれくらいしか優遇は出来ませんが、一週間前に来てくれた皆さん、ありがとうございました。」
美月は恐ろしさに震えそうになる体を必死で堪えていた。 一部の男子生徒らは全員、三春達に選ばれ、事情を理解していた者達だった。