「倉真くんが好きなのは本当で、新島さんのお父様と、援助交際していたのも本当…。寧ろ一番いけなかったのは私自身だったの。」
「どういうことだよ。美月に恨みでもあるのか!?」
美月は頷いて、続きを話した。
「私、以前にも倉真くんのように男子生徒を愛してしまったことがあるの。」
「!?」
「名前は…澄越 君人(スミコシ キミト)くん…。私のせいで彼は…亡くなってしまったらしいの…。」
「あ、あいつが言ったのか?信じられるか!」
美月は倉真の手を取り、首を少し振った。
「この一週間で、彼女が私に抱いている恨みは、こんな事じゃ消えないものだと分かったわ。」
律子も自分の父親の指示ではないと知り、本当の原因を知りたくなった。
――あの頃私はまだ研修生で、小学校が実習先だったの。
本当は小学校の先生を目指していたのだけれど、この事をきっかけに私は高校勤務を余儀無くされるの。――
6年生のクラスが私の実習先だった。
「新しい先生だってよ。」
「ジッシュウセイって言うんだって。」
「ウチのおっきぃ姉ちゃんくらいだぞ。」
私を見るみんなの眼差しは好奇心に満ち溢れていて。
そのせいか、ある一人の男の子の視線がこちらに向いていないことに直ぐ気づいてしまったの。