「気付かないわよね。君人と私が姉弟だったなんて。」
私は澄越家の墓の前に連れてこられたの。
墓石には彼の名前が。
そして彼の他界した年と、私が彼と出会った年が同じだったの。
「あの日、帰って来た君人はしばらく体がダルいって言ってた。それでも実習生の先生に会いに行くって、毎日、無理して学校に通ってた。」
澄越さんは泣きながら私に話していたわ。
「あなたが学校からいなくなって!緊張の糸が切れたみたいに君人の体調は悪化していった!!最初は高熱!次は喘息の発作!最後は肺炎も併発して苦しみながらあの子は死んだの!!」
その時の澄越さんに、私は謝ることも出来なかった…。
――私の熱、感染るかも。――
あの冗談半分の言葉が現実になって、私の熱で彼は亡くなった。
そんな事、澄越さんにはとても言えなかった。
「…これが澄越さんの恨み。」
「でも…本当に美月の熱で亡くなったなんて。」
「ええ、でも。私の為に学校に無理して通ったのは間違いないの。もう、取り返しがつかない。キミトくんが亡くなり、澄越さんは変わった。援助交際に明け暮れて、新島さんのお父様とは、その時に…。」
「義父です。まさか不倫だけでなく、そんな事をしていた人だったなんて…。」