「そういう事だったのか。」
愕然としていた倉真の背後で男の声が聞こえた。
「ひ、氷牟田!」
あの雪の日に確かに教室にいた人物だった。
「お前、今の時間は…?」
「今日遅刻してな。さっき来てみたらグループ分けされてたから、何事かと思っていたんだが。ここまで深い事情があったとは…。」
倉真は心を許しかけたが、彼の本心をまだ聞いていなかった。
「お前…どうするんだ?」
「どうって…。要するに今のところクラスの男子全員が¨敵¨って事なんだろ?」
「き、協力してくれるのか?」
氷牟田は頷いた。
「ありがとう…!俺一人じゃ何にも良い考えが浮かばなくて。」
「百合原一人じゃ確かに無理だな。」
氷牟田は微笑をしながら茶化した。
「ははっ、心強いよ。」
「問題は澄越か…。どうやって弟さんの件を許してもらうかだな。」
二人は三春が去っていった廊下を見つめた。