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姉と俺 <2>

元:球児  2010-03-27投稿
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俺の家系はどちらかと言えばアウトドア派だ。
親父は府の消防庁の職員で若い頃はレスキュー隊にも入っていて、その頃母と知り合い結婚した。

兄と俺は5つ違いの兄弟だ。父親が野球が好きで兄が小3の時、地域の少年野球チームに入った。
俺はまだ幼稚園生でチームには入れて貰えなかった。

それまでは、遊び相手の兄を失ってしまう。兄がグラウンドで練習して帰ると勤務を終えた父親が更に庭で兄に野球を教える。

「人並みの練習では人並みにしかならない」と言うのが父親の理念だった。
ボールの握り方、腕の使い方、バットの握り、振り…スライディングのやり方、グラブの出し方…父親は自分も本を見ながら兄に教えた。

俺は遊び相手もなく二人の練習の邪魔になりながらも一緒に庭で遊んだ。
主には、スライディング用に父親が庭に造った砂場で遊んだ。

庭に張ったネットの前でトスバッティングをする小3の兄をトスを上げながら父親が叱る。
まだ腕力もない兄は可愛そうなくらい怒鳴られていた。

母親はそんな光景を毎日見ていて俺にも玩具のグラブとプラスチックのバットを買ってくれた。
幼稚園から帰って兄と父親が帰ってくるまでは母親が遊び相手をしてくれた。

新聞紙を丸めてガムテープで包んだものが俺のボールだ。30〜40個、母親が作ってくれてトスをする。俺がプラスチックのバットで打つ。
子供ながら父親が兄に言う言葉が砂場で遊ぶ俺に,BGMのように擦り込まれたのかも知れない。

面白半分に、右で打ち疲れたら左でも打った。
飽きもせず母親はトスを上げる。
軽いプラスチックバットは面白いように紙ボールを叩けた。
母親はそれを見て自分も楽しんでいたのかも知れない。

俺の名前は崇と言う。
「タカくん、左!左で打って!凄いねタカくん!」
母親のその一言が俺の人生を決めたと思う。
左での俺のスイングを野球を良く知らない母親が見抜いたのだ。

小3からしか入れない少年野球チームに小1で入部して小2でセカンドのレギュラーになった。背後のライトを小6の兄が守っていた。
兄のお下がりのユニホームを着て…背番号は俺の顔程もあった。肩はまだ弱かった為にセカンドを守ったのだと思う。

試合のあった夕飯で兄が
「崇が守ると、俺心配で…堪らん」…と言っていたのを思い出す。
だが、左打者としてそこそこの成績は残した。

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