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姉と俺 <3>

元:球児  2010-03-27投稿
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兄を初め上級生達は今思えば不器用だったかも知れない。
監督や父親から言われたことを俺はじっと聞いていて直ぐに身につけることが出来た。要領が良かったんだと思う。

ただそれは単純な発想であり「如何にしたら叱られずに済むか」という要領良さでしかなかった。
上手くなろうなどという高尚なものではなかった
小4でショートを守った。身長も6年生と同じくらいになっていた。

「天才現る!」などと大阪府の中で騒がれ、父親は職場で鼻が高かったらしい。小6の時には同級生よりも首一つ身長は高くなっていた。
監督は俺を重宝して使った。捕手を始めリリーフエースにも使う。

中学生になると父親は府のリトルリーグチームに入れた。硬式ボールを初めて握った。
兄は府内の高校で野球部に入っていた。
兄は俺を可愛がってくれて将来に期待をかけてくれていた。

兄の高3の夏の甲子園予選が終わった時、家族会議で父親が、「兄は野球を止めてこの家の跡取りとして大学へ行け。崇は野球で身をたてろ」と決められた。
その年俺は、ジュニア日本代表としてアメリカでの世界大会にもつれて行って貰った。

中3の秋。どこの高校に行くかという時期、兄がデーターを送ってくれた
過去 10年、どこの高校が甲子園出場の回数が多いか、どの地域が予選が楽か、来年の可能性、投手力、攻撃力、守備力、監督の人間性、校風…あらゆる可能性を判りやすく纏めたデーターを兄が大学から送ってくれた。

北海道、山陰、熊本、沖縄…比較的予選が楽な地区…春、夏の大会に 90%出場確率を有する高校。
兄は俺のマネージャーを果たしてくれた。大学で専攻した情報科学科の専門分野を駆使してくれた

母親は俺がどんな境遇にあってもイジメ、イジメられることを避ける人間教育を幼稚園から注意してくれたと思う。

6年生がチームを抜けた小5の秋、新キャプテンを決める際、俺が選ばれなかったと膨れた時、母親はいつも愛用している籐で出来た布団叩き棒てビンタを叩かれたことがある。
父親が止めるのも聞かず、頭も叩かれ、退部させると言って怒ったのを思い出す。結局、俺が詫びを入れたのだった。

今でも内心、父親よりも怖い。
こうして俺が野球を続ける環境を家族皆が支えてくれたのだった。
なのに…俺は…
恩義のある兄の嫁さんと不義を犯してしまった。
高校3年の春である。
忘れてはいない!

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