カリスマ的な美少女がいた。
名前を優衣・カティーカリミーと言った。
10年に一人、出るか出ないかのスーパーアイドルだった。
拓哉はテレビを見ていた。輝き、舞い、満開のサクラがその艶やかさで魅了するような、優衣の姿が映し出されていた。
優衣はハーフだ。身長は169センチで、スラリと伸びきった美しい四肢が、とても16歳とは思えない大人の色香を漂わせていた。
究極の美だと、拓哉は思った。時折見せるあどけない表情が、純白の女体に不思議な艶かしさを倍増させていた。
自分の子をこの少女に孕ませたい。拓哉は思った。
だから計画を練った――
拓哉は優衣が乗った車を尾行していた。クォーターバイクで一定の距離を保ちながら。
優衣出演の某テレビ局の生放送が終わるのを待ち、上手く優衣が乗った車をキャッチ出来たのだ。
だが、拓哉のバイクの存在は優衣の芸能事務所スタッフに認識されていた。
「チっ、パパラッチがつけてやがる。吉岡、なんとか振り切れないか? 」
言ったのは優衣のマネージャーだった。
「道が込んでますから無理ですね。優衣ちゃんを乗せて、あまり無理も出来ませんから… ファンかもですよ」
運転手兼ボディーガードの吉岡が答えた。
「中には変なファンもいるからな、出来るだけ優衣ちゃんの自宅は知られたくないんだが… 」
「どうします? このまま自宅に送りますか? 」
吉岡がバックミラーでマネージャーを覗き込んだ。
「…優衣ちゃんも相当疲れてるしな… 仕方ない、明日も早いし、このまま自宅へ向かうか… 」
マネージャー達の心配をよそに、仕事で疲れきった優衣はシートにもたれ深い眠りにおちていた。
優衣達を乗せた車は、都内の某マンションへと着いた。拓哉はマンション前の大通りに立ち、部屋の明かりがつくのを待った。
二階の明かりがついた。だが、拓哉はあの部屋ではないと思った。優衣を乗せた車が着いて、あまりにもタイミングが早かったからだ。
暫くして、最上階の明かりがついた。一番右端の部屋だった。
拓哉は直感した、あの部屋だと。
マネージャー達の車が駐車場から出てきた。それまでに、マンションの他の部屋の明かりはつかなかった。
歴史的な大凶行の第一歩を今、拓哉は踏み出した――――