私は朝刊も見ずに床に突いた。
目覚めたのは午後の2時だった。よく寝た。
天気も良かったのでお布団を干した。
洗濯機を回しながら、夕べの名残を含め部屋掃除をした。…仏壇も…
『お陰で昨夜は楽しく過ごしたわ』
偽りのない心境だった。
街に出て少し色っぽいキャミソールを買った。スーパーに寄り買い出し…慌ただしく動き回った
何故かはつらつと動けた
買い物をして5時には家に着いた。
チラッと門札を見る!
買い物袋からビールを取り出し冷蔵庫に納める。
私はドキドキした。
門札が元通りに架け替えてあったから!
スーパーで買ったお花を仏壇のと入れ換える。
『あなた、今夜もありがとう』だ。
縄を手にした甲の姿が浮かんだ……。
昨夜は少し、お腹が空いたことを思いだしお握りを作ろうと、多めにご飯を炊いた。
あれ以来、父母以外の誰かのために食事を作るのは珍しい。楽しかった。
洗濯した昨夜のシーツに所々、シミがついていたのを思い出し、布団にタオルケットを敷き、その上から糊の効いたシーツを掛けた
鼻唄が出た!
キャミソールを試着してみた。
下着も揃いだ。
少しエッチ!
おへそのギリギリの丈。
下着とは隙間がある。
そっと陰毛を撫でて見る
今日でお別れか…と呟く。念のため剃刀も買った
洗面器にタオルを敷いた
少し顔が赤らむ。
…甲は私を縛って、どんなことをするんだろう…
玩具を買って来るとは言っていた。
ワクワクした。
食事を済ませ、時計を見ると7時が近い。
ゆっくりと風呂に入った
いつもより念入りに入る
髪を乾かし鏡の前で薄く寝化粧をした。
昨夜は、夜ばいの風習など半信半疑だったから、何もしてなかった。
今夜は少し……。
キャミソールに下着で床に着き読書をした。
女のくせに私はハードボイールドな男ものを好んだ。
が、読んだことが何も頭に入らない!
脳は他所に行ってしまっていた。
思い切ってビールを飲むことにした。またビールの匂いがするかも…と思わず笑いが漏れた。
今夜はもう、いきなりエッチモードで行こうと決めた。
縛られることを想定して、必要な物。剃られることを想定して必要な物。あと、ティシュやタオル、余分な洗面器、帯やガムテープ、懐中電灯、…まるで私は遠足にいく幼児のようだった。
少し眠っておこうと部屋の明かりを消したのがちょうど9時だった。
…しかし、どうしても気になって門札の裏を確かめた。…鍵はなかった。