「女将さん!元気はつらつ、リポビタンDですね!一段と綺麗ですよ…」
修は辺りに誰もいないのを確かめると、私に言った…
「あら、そう?…私はいつでも元気よ!…あッ、夕べはお世話を頂き、ありがとうございました…」
私は機先を制して言った
「どうでした?良かったですか?失礼はなかったでしょうね…」
「ううん!楽しかったわ!何もしなかったとは言わないけど…お話が中心で…目隠しが少しきつかったくらい。話が弾んで」
「そうでしたか。良かった…何時くらいまで?」
「11時くらいかなあ…よく覚えないわ!…修さん、何でも…凄く立派な人が居るらしいじゃない。言ってたわよ!…それで話が弾んだ訳…」
私はお味噌汁の具を刻みながら、照れ隠しに饒舌にしゃべった。
すると修は傍に近付いて来ると、
「女将さん、夕べの男は満足行かなかったんですね…やはり、立派なのが良かったですか」
「そんなこと、ないわ!…素敵だった!お礼を言ったじゃない!満足してます。ありがとう」
「本当ですか?それならいいけど!…」
「嘘は言わないわ。誰がいい、悪いとか差別みたいなことはしたくないから。…それに、私、お話が出来て癒されればいいの!…嘘だと思うなら、今朝も甘いの一皿、焼きましょうか、卵焼き。そんなに激しかったら二日は続かないわ。私、平気よ!ピンピンしてるもの」
「ピンピンしてるなら、甘いの焼いて下さい。奴のを見るだけでも、話が弾みますよ!それこそ、癒されますよ。奴を今夜行かせますから…」
「癒されるなら…いいわよ甘いの、焼くわ。本当にいいの?…」
「いいですよ、昨日どっちにするか迷ったくらいでただ、目隠しをしてたんじゃ、話にならないな」
「母は…当然、目隠しなんかしてなかったんでしょ…平気だったのかなあ」
「旦那さんを亡くして、これだけの身代を築いた人ですから…腹が据わっていましたよ!女将さんも二代目で、腹を決めたらどうですか、もう!…秘密を守るとか、漏れるとか、噂が立つとか、責任は私が持ちますから…」
「修さん今日はお仕事?」
「今日は私、遅番で夕方から仕事です。それ迄は暇ですよ」
「じゃ、食事の後、相談に乗って下さい。班長として、色々とお店のこと」
「いいですよ。私に出来ることなら…」
「お願い!…取り敢えず…一皿、甘く焼きますよ」
「はいはい、お任せを!…立派な奴を手配します」