「きゃっ… ??? 」
笑いながらも、少しだけ戸惑い顔のミリイ。
「おまえら、そういう関係だったの?? 」
ミリイの後ろから顔を覗かせたのは、同じ大学の四年生【立川祐輔】だった。
(誰や? このけったいな男は? )
富継は、ボサボサ髪で無精髭を生やした祐輔を見つめた。手はまだミリイのオッパイを揉んでいる。
「あの? 」
困った顔のミリイ。富継がわざとらしくミリイのオッパイから手を放して、嘯いた。
「あ、ごめん、ごめん? ほんの挨拶?挨拶? 」
「らしくねェ〜 」
初めて祐輔が笑った。
「ふ〜ん、果茄【かな】にもこんな面があるんだ? 新しい発見ね? 」
エミイは少し上機嫌だ。
「欲求不満じゃねえの?? なんなら、オレが相手をしてやろうか??? ――イテテテテっ? 」
「どの口が言うか? どの口がッ??? 」
祐輔の両頬をつねるエミイ。その二人の雰囲気に富継は、(こいつら付き合ってんだあ? )と、直感した。
「それよか早く行こうぜ、競馬場?」
「果茄、出掛ける準備はOK? 」
「競馬場?? 」
目が点の富継。
「やあね、今日は月に一回のサークル活動日でしょ」「あ… ああ、そうだったそうだった、忘れてたあ?」
事情がのみ込め、調子を合わせる富継だった。
元来、富継は大の競馬好きだった。また、それがあだとなって家庭を崩壊させ、見捨てられ、浮浪者生活を余儀なくされたのだった。
「ちょっとサイフ取ってくらあ?? 」
嬉々とした富継の後ろ姿にエミイは、(今日の果茄って本当に変? なんだか別人みたいだあ?? )と、感じていた―――