バギュラ星人は地球から遥か遠く旗魚座大マゼラン雲から来たエイリアンだ。
目的は観光で、約200年もの歳月をかけて地球へやって来た。
ただ200年といっても、寿命が平均で100億歳くらいあるのだから人間の感覚で考えない方が良いのかもしれない。
それに考えてみれば、たったの200年で大マゼラン雲から地球まで来たのだから凄い科学力だとも言える。
容姿はアメーバに似ていた。大きさに個人差はあるが約5センチ程度。地球人的感覚からは想像も出来ないが、人類よりも遥かに優秀な知的生命体だ。
旅行の目的に関しては人類とあまり違いがなかった。
観光地巡りに買い物、それに美味しい物を食べて、最後はSEXで締め括りだ。
観光地に関しては東京が一番人気だった。その中でも夜の銀座のネオンに何故か心を惹きつけられるバギュラ星人が多かった。
買い物、食事、SEXに関しては人間に寄生し身体を借りる事にしている。買い物はお金を持たない場合は万引きで、そのスリルも楽しみのひとつだった。
食事は、身体を借りた人間の好みに依存していた。
問題はSEXだ。過去バギュラ星人は地球を5回訪問している。その経験を経てメスの方が気持ち良いという事がわかり、地球人の異性の好みもだんだんと理解してきていた。
―――クリスティー・ランドシュタイナーは来日していた。
17歳にしてアカデミー女優賞を受賞した超大物女優だった。
そのクリスティーももう21歳。女の色香も最高の域に達していた。
美しい。間違いなく地球上の美しい女性のトップ10の中に入っている、と言える究極の美貌だった。
そんなクリスティーだから、あるバギュラ星人に目を付けられてしまった。
クリスティーを囲む人の多さにも、そのバギュラ星人は反応してしまったのだ。
クリスティーに今、恐怖が忍び寄ろうとしていた―――