富継【果茄】と美希の唇が微かに触れ合った。富継は抑えがきかなくなり、舌を美希へと侵入させた。
手はシャツの下から美希の乳房へと進入させ、まさぐる様に乳房を揉みしだいた。
と、その時だった。
「いやっ? 」
美希は拒絶し、富継を突き放した。
「 …ごめん? 」
謝ったのは富継だった。心の中で唐突過ぎたかな? と反省した。
「あたしこそごめんなさい」、言って美希は駆け出し、宴会の席へと戻っていった。
ポツンと残された富継は、「 …年甲斐もなく上気せちまったい? 」と呟いた。
三次会は祐輔のオゴリだった。
実は競馬場でトイレに行くとか言いながら、10レース馬番?の単複馬券をそれぞれ五千円ずつ購入していたのだ。
(速人ありがとう? )、と心の中で感謝し、今日の勝利の自慢話に花を咲かせた。
「じゃあ速人、果茄っぺをヨロシクな。分かってると思うけど、送り狼になるんじゃねえぞ? 」
祐輔は速人を全てに於いて信頼していた。釘をさしたのは挨拶がわりだった。
「はい? きちんと送り届けます? 」
「珍しく酔っ払ってるから果茄の事ヨロシクね? 私達は美希ちゃん達を送っていくから」
「ほう、美希ちゃんをよろひく? 」
ミリイ達に応える酔っ払いの富継だった。
「じゃあ失礼します? 」
速人が言って、別れた。美希は複雑な様子で二人を見送った。男女を二人っきりで帰らせるな?? と思いながら。
富継が住んでるアパートと速人の自宅は割合に近かった。
三次会があったカラオケボックスからは歩いて20分程度の距離だった。競馬で儲けた大金を持っていた事もあってタクシーで帰るのが無難ではあったが、速人の希望で歩いて帰る事になった。
「果茄さん、結構酔ってるみたいですけど、大丈夫ですか? 」
「平気、平気? 何ともないろ? 何ならもう一軒行くかあ? 」
「行きたいのは山々なのですが、飲み過ぎも良くないのでまたにしましょう? 」
「じゃあホテルにでも行って、一発やるかあ?? 」 「な、何を言い出すんですか? 」
「おまえオレの事を好きだろ?? なんならヤラセたるぞぉ?? 」
「ぼくだから良いですけど、そんな事を言ってたらそのうち酷い目にあいますよ」
「おめえだから言うんだよ? 」
そんな二人をつける黒い影があった―――