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月夜の晩に 18

にゃんこ No.違い、すんません(>_<)!まだちょっと続きます…読んで下さってる方々ありがとうです!  2010-06-13投稿
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先輩がいる。
目の前に。

でも見れない、見上げられない、なんて言ったらいいかわかんない。

極度の緊張で頭がおかしくなりそうだ。

「…なに?」

久しぶりに、俺に向けられた言葉。
先輩の声。

俺は…声が出なくて、どうにもできなくて。

握りしめた手を開こうとしたけど、体が言うことを聞かなくて。

「…風見?」

名前…。
俺の、名前。
先輩の唇から出たのは俺の名前。
それだけでこんなに胸が熱くなるなんて。
視界がぼやけるなんて。
「…わっかんねえなあ…お前って…」

呆れたように(実際、絶対に呆れて)ドアにもたれて髪をぐしゃぐしゃにした先輩の気配がする。
出掛けなのに、髪型がくずれますよ、なんてつまんないことが飛び出しそうになる。

「なあ」

…。

「…なあってば!」

俺は今世紀最大の努力で顔をあげた。

先輩は

ぎょっとしたように見開いて、それから…

「それがお前の答えなんだな…」

と呟いた。

先輩は強く俺を引き寄せて俺の瞼にキスをした。
壁のない瞳に。

慣れないコンタクトをした俺の目に。

眼鏡は、もうない。

それが…確かな答え。

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