ようやく、お互い唇離していきなり気まずくなった。
誤魔化すように、俺は忘れ置かれた封筒を手にして表に
嘉納先輩へ
と書かれているのに気づいた。
誠司?
なんなんだ、と思いつつ封を開ける…と、紙切れ一枚に
「男同士でも大丈夫です」
とだけ書かれていた。
俺と、覗き込んでいた圭は思わず見合わせて吹いた。
「てゆーか…俺らって、やっぱそーゆーのなわけ?」
俺が止まらない笑いを抑えて聞く。
「…俺は…そーゆーのでもいーよ?
だって俺、お前と一緒にいたら女とかもう面倒でしかないじゃん。
大切な人、を別に抱かなきゃなんない訳じゃねーけど…抱かれたいなら」
「だっ、誰が抱かれたいなんつったよ!調子のんなよ、舌入れたくらいでビビりやがった癖に…」
圭はニヤッと笑った。
「アキヒト〜、お前本当に口悪いねえ」
うるせえ、バカ!
「アキヒト」
「んだよ!」
圭がそっと耳元で囁いた言葉に、俺は、悠の奴!と顔をしかめた。
「俺がお前のタンポポだよ」
しかめた顔も、
緩くなっちゃうだろ。