こんなこと、本当に現実である筈がない。
頭のなかであれほど、無理矢理汚した小早川が…自ら僕に犯されたがる、なんて
僕の上に跨がって、爛々と輝く目で見下ろしている。
黒いブラウスのボタンを外していく…。
僕は魔法にかけられたように微塵も動けない。
小早川は微笑したまま、はだけた身体を淫らな動作で押し付けた。
「ね…俺をこんな風にした…?頭のなかで、した?
英士…ねえ?」
全身に鳥肌立つような淫靡な声で耳元をくすぐる。
目の前に顔がある。
可愛いと形容される顔。
でも今は美しい。
この世のものとは思えないくらい綺麗だ。
瞬きしない目に僕が映っている。
怯えてるのか? 僕は。
唇が重なってきて、僕は金縛りから解けた。
全身を走り抜けたのは
純粋な欲望。
この美しい、黒い生き物に対しての
凶暴なまでの、欲情…。