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妄、想なんです 21

にゃんこ  2010-10-15投稿
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わかった。


肌寒い日曜の朝。

頼れる情報網から導けた結論。

小早川理央の兄が、犯罪者らしいこと。
その事件のせいで引っ越してきたこと。


小早川の秘密。

そこに根深い何かがある。
寝転がり、天井をみあげていると携帯が震えた。


暇なら


きて


僕はゆっくり起き上がり、ポケットに携帯をしまう。
行くよ。

どこへでも。


爽やかな朝の匂いも、澄んだ青空も、鳥の囀ずりもいらない。

僕にとって世界は理央によって形成されている。


今でも、いや、より一層僕は小早川が憎い。
僕をこんなふうに侵食し、食いつくした魔猫。

こうして彼に近づいていく度に何かを忘れ、失っていく気がする。

僕にもあっただろう、アイデンティティーや思い出が虚ろな空っぽに変わり、そこに小早川が流れ込む。
こんな風にはなりたくなかった。

それでも時々あの夜の
「英士だから」
を思い出す。

何故、僕だったんだ?

何度犯しても答えはでない
白い身体を汚す度、汚れていくのは自分だと解る。

館が近づく。


鍵を握りしめる。

彼のいる場所へ

僕は向かう。


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