「理央?」
理央は思わず笑ってしまうほど、目を丸くしていた。多分、僕自身も。
「英士」
そして…、理央はソファーから起き上がった僕に…
走りより、しがみついた。
「馬鹿!…遅い!」
え?
見上げた顔はいたずらっ子みたいだ。
「狡いよ!…僕は毎日来てたのに!」
僕を…待ってたの?
驚いて、言葉もでない。
やっと振り絞る。
「なら…呼べば良かったじゃないか、メールで」
理央は首を振る。
「やだよ。なんか…負けになる気がして」
なんだよ、その負けず嫌いは…僕は笑った。
ぎゅっとしがみついたまま理央は微笑んだ。
「あのね、僕は…英士と始めたい」
「始める?」
理央は夢見る少女のように僕の膝に頭をのせた。
「うん。僕を許してくれたから…英士が…僕を好きでいてくれたから…。
春臣を忘れはしないけど、新しい毎日を…
僕は英士と一緒にいたい」
理央は有無を言わさない強さで僕を見た。
僕は笑って…だって笑わないと泣いてしまうから…彼を抱き締めた。
触れられない星じゃない。
ここにいる、たった1人の愛しい人を。
終