数分後、二人は校内にある自動販売機の前にいた。
真希のおごりで、二人は飲み物を手に立っていた。
「ごめんなさい……。寝不足気味で…」
「そっか…。でも仲埼さんて、意外と親しみやすくて良かった」
「?」
「初めはもっと、取っ付きにくいかと思ってた…。
あっ…
…ごめん…」
真希は微笑んで、首を振った。
「昔から人付き合いは苦手な方だから…
当たってる。
瀬下くんみたいに明るい人って羨ましい」
優も微笑んで、首を振った。
「俺だって人付き合い苦手なんだ。
サッカー通してしか友達作れない…。
笑っちゃうだろ?
基本的に、ボールが友達だよ」
「なにそれ」
優の意外な一面に、
真希も親しみを覚えた。
「そうだ、仲埼さん、
今度、
試合、決まったら見に来てよ」
優は何故か喋り方がぎこちなかった。
真希はこの誘いに少し驚いたが、
快く頷いた。
「うん、楽しみにしてる」
優は満面の笑みを見せた。
そんな二人を、学生食堂から出てきた真菜たちがちょうど目撃した。
「!?ウソ、アレ瀬下くんじゃない!?」
「一緒にいる人って…真菜の双子のお姉さん!?」
「真希………?」
真菜は何故か、二人を見て不安な気持ちになった。
今朝の曇り空からは、
冷たい雨粒が零れ落ち始めていた。