「あっ……おかえり、真菜」
返事をした後、蓮一は席を立った。
真菜がリビングに入ってきた。
「おかえりなさい」
「ただいま…」
「真菜……私の部屋に来て」
「?」
「話したい事があるの」
真菜の脳裏に優と仲良く話す真希の姿が浮かんだ。
真希の部屋は整然としており、
真菜の女の子らしい部屋とは対照的だった。
「真菜……蓮兄の事…やっぱり私に任せてくれない?」
真菜は驚いて、一瞬ためらってから、言った。
「ず、ずるいよ!!真希には瀬下くんもいるのに!」
「真菜、ココア…淹れた……」
ちょうどその瞬間、
蓮一が部屋の前にいたのだった。
真希は目を見開いて呆然とし、
真菜も蓮一がドアの向こう側にいると分かり、口を噤んだ。
「?何の話だ?真希には瀬下くん?」
蓮一も会話内容があまりに飛躍しているため、恋愛の話には聞こえなかった。
つい先ほど気持ちを打ち明けてくれた真希に、彼氏がいるというのは筋が通らない。
――真菜は何の話をしているんだ?――
「ち、違う……瀬下くんは…違う!」
(!?これ以上何を否定すればいいの……。
違う。
これ以上否定できない…っ!
だって、
瀬下くんは……
瀬下くんは…大切な…人。
…だから)