そう言うと、夏輝さんはまるで泣くのを必死にこらえてる子どもみたいに、瞳に涙をためてまた俺を見た。
「…!!!克巳くん……。」
だから俺は思わず、
夏輝さんを抱きしめてしまった。
「泣いてよ。我慢しないで…。あと、"くん"もいらないよ。克巳って呼んで。」
「…克巳っ、ごめ…ッ。
ゴメン……、かつみ。」
何度も何度も、
俺の胸の中で名前を呼んでは謝ってた。
小さく泣きながら、
小さく震えていた夏輝さんは、なんだか小さくて細く感じた。
それからしばらくして、落ち着いた夏輝さんと近くの公園のベンチに座った。
「はい。」
「ありがとう。」
自販機で買ってきたココアを渡す。
「学校サボったのなんて初めてだ。」
「夏輝さん真面目そうだもん。俺が適当に言っとくから合わせといて。」
「何から何まで、すまないな。」
「なんで?夏輝さんのためだもん、当然だよ。」
そう言って笑うと、
夏輝さんも笑った。