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母・女・メス 79

ザクロ  2010-12-20投稿
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涼子は従順だった。

誰にも絶対に知られてはいけないこと・・・
この少年はホテルに入る自分たち親子を見ていた。
とても外で聞ける話ではない。

震える手で茶を出した。

「結城・・カイト君だったわね。」

カイトは茶をすすった。
涼子はしきりにモジモジと指先をいじり回した。

「あのホテルには・・事情があって・・・」

「どんな?」

涼子の目が泳ぐ。

「あ、知り合いがやってるホテルで・・・」

カイトは涼子の取り繕いを一蹴する。

「じゃ、アイツにも確かめてみよう。」

涼子の顔色が変わった。
(嘘ついてもすぐにわかるよ。おばさんすごく焦ってるでしょ)

「そんな、焦ってなんか」

勝ち目はなかった。
彼の言う通りだ。嘘などすぐにバレる。

涼子は呼吸が荒くなった。

「家庭を壊したくないんです!お願い。このことは、誰にも知られたくないの!」

「落ち着いてよ。・・誰も言いふらすなんて言ってないし・・・」

カイトは涼子の怯えた顔が痛快でもあった。

優しい笑顔ではない、悲痛な顔・・・

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