「…一生口を聞かないつもりかな?」
海斗はコンビニの弁当を食べながら、リビングのソファーに腰かけている簓に声をかける。
あれから、体感的には多分5日…それ以上は経つ。
相変わらず暗闇。
相変わらず時は動かない。
そして簓はあれっきり一言も口を聞かない。
まあ、無理ないか。
レイプに近いからな。
…いや、レイプか。
だが、不思議なのは簓が出ていかないことだ。
この世界に俺たちしかいないのなら、家なんて幾らでも選べる。
自宅に帰ることも出来る。
だが簓はここにいる。
蒼白いような怒りのオーラを纏って、ひたすらに沈黙している。
本当に殺すつもりでチャンスを窺ってるのかも。
まあ…ね、いいけど。
いいよ、本当に…。
この世界に来てはじめに襲ったのは恐怖。
次は倦怠感。
今は絶望。
簓に口を聞いて貰えないことはかなり堪えている。 後悔もしてる。
謝ったが、ただ、まばたきのない目で見つめ返されただけ。
苛々する。
なんなんだ、部屋を移れよ
いつまでも一緒にいるな。
いや、居てくれ。
そんな心のシーソーに疲れている。
海斗は無言の簓に近づいた