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さよならは五分前 23

ゆーこ  2011-01-05投稿
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叩きつけられたドアを、しばらく見つめて、海斗は外へ飛び出した。

一人にさせておけない!!
俺はバカだ!

どこだ?
どこにいるんだ!

物音ひとつしない世界で、道路に佇んで…あのコンビニへ駆け込むも誰もいない
なんで泣いたんだ、簓。

振り向いた顔は傷ついていた。
わからないことばかりだ、なんで泣くんだ。

「簓!!」

大声で叫んで、とにかく走って、捜し回った。

考えてみれば広い世界で、向こうに会う気がなければどうやって見つける?

無理だ。

…二度と、会えないのか?
思考は海斗を居抜き、動けなくする弓矢のようにその場にとどめた。

会えなくなる?
簓と?

耐え難い痛みが全身を駆け肉体の疲れなど消し飛ばした。

妙に不安定な子供の目。 意外な強さ。
それらが混在する不可思議な心。

はにかむような微笑、自分はとるに足らないと泣いた顔。
抱き締めた温度、声と熱。
今になって、こんなに…。
言い訳してみたって、こんなに愛しいんじゃないか。


簓。

簓、簓…。

足が動かなくなるまで、俺はお前を捜すから。

そんで、涙の意味を教えてくれよ。


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