叩きつけられたドアを、しばらく見つめて、海斗は外へ飛び出した。
一人にさせておけない!!
俺はバカだ!
どこだ?
どこにいるんだ!
物音ひとつしない世界で、道路に佇んで…あのコンビニへ駆け込むも誰もいない
なんで泣いたんだ、簓。
振り向いた顔は傷ついていた。
わからないことばかりだ、なんで泣くんだ。
「簓!!」
大声で叫んで、とにかく走って、捜し回った。
考えてみれば広い世界で、向こうに会う気がなければどうやって見つける?
無理だ。
…二度と、会えないのか?
思考は海斗を居抜き、動けなくする弓矢のようにその場にとどめた。
会えなくなる?
簓と?
耐え難い痛みが全身を駆け肉体の疲れなど消し飛ばした。
妙に不安定な子供の目。 意外な強さ。
それらが混在する不可思議な心。
はにかむような微笑、自分はとるに足らないと泣いた顔。
抱き締めた温度、声と熱。
今になって、こんなに…。
言い訳してみたって、こんなに愛しいんじゃないか。
簓。
簓、簓…。
足が動かなくなるまで、俺はお前を捜すから。
そんで、涙の意味を教えてくれよ。