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ラック・ガール #29

輪廻 2011-02-17投稿
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蹴人がリルナとの待ち合わせに到着したのは、予定の十分前だった。
しかし、彼女も既に到着していた。

急な呼び出しに、快く応じてくれたことに感謝しながらも、蹴人は少し緊張していた。

「よう。早かったな」

「そっちこそ、早いね」

お互いに見慣れない私服姿にどぎまぎしていたが、
蹴人はリルナに話したい事があると呼び出したので、
彼から話が切り出された。

「俺、藍原が……サッカー部のヤツから告白されたって…聞いた」

リルナは忘れていたことを瞬間で思い出した。
あの話は無論、噂で広まっていた。
しかし、リルナから蹴人に伝えてはいなかった。

「うん………断っちゃったよ」

「そっ………か」

俯いた二人の目線が、
一瞬、重なった。

「!」
「…!」

リルナはどうしていいか分からなかった。
恐らく、蹴人は告白の結果を知りたかったのだろうと思った。

(久波くんのばか……)

「ぁ……歩こっか」

「あ…ああ、そうだな」

無言で歩く昼下がりの街は、
ひどく暗かった。
雲が少し厚くなって、
時々、太陽を遮るからか。

――何かほかに、暗く見える要因があるとすれば…。

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