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ラック・ガール #30

輪廻 2011-02-17投稿
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リルナは蹴人の横顔をちらっと盗み見ると、
彼は何か真剣な顔をしていた。

(あさっての顔だ………)

「久波くん……。どうしたの?」

「あ、ああ……」

ほとんど言葉もないまま、
二人は街はずれの公園に辿り着いた。

「悪いな、藍原…こんなとこまで…」

「今日は久波くんの方が、らしくないよ…?」

二人はブランコに腰掛けた。
蹴人は真剣な表情を相変わらず崩さなかった。

「藍原、俺、今度の試合また出れることになったんだ…」

「すごい…!今度こそ見に行くからね!」

「ありがとう。お前が来てくれるだけで十分だよ………。…ああ、その、あんまり大勢来られてもな!なんつーか…」

リルナは必死になる蹴人が可笑しくて愛おしかった。

「それで…本題なんだけどさ、
珍しくウチの両親が来ることになったんだ」

「え?」

「俺の名前、分かるか?」

「当たり前だよ!シュウ……ト」

「漢字だと蹴るに人だろ…。
本当は、両親は俺にサッカーやらせるつもりだったんだ」

「う、生まれた時から?」

「ああ……。でも地元のサッカーチームの厳しい練習より、友達とやるバスケの方が何倍も楽しかった…」

蹴人の意外な過去に、リルナは聞き入った。

「気付いたらバスケ部に入って、サッカーチームは辞めてた…。
それ以来一度も、両親は俺のバスケを見た事は無かった」

「じゃ、じゃあなんで今度の試合は…!」

蹴人は突然、リルナに頭を下げた。

「彼女が見に来るってウソついた…!」

「?!?!」

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