「おっじゃまします〜」
我が物顔で静瑠の家に上がり込む連理。
「俺より先に入っちゃうんだからな〜」
静瑠が俺に微笑む。
あー、頼むよ、もう…
「…ねえ、あのさ…」
玄関で靴を脱ぐ俺に、静瑠が擦り拠ってきた。
反射的に離れる。
「何?」
「…うん…今日…泊まらない?」
げ。
何いってんの、こいつ。
やばい、やばい、やばい! すげえ心臓跳ね上がった。
「いや、俺は…」
「話があるんだ」
いつになく真剣な静瑠に、気持ちが揺れる。
「連理は?」
「…」
また、後で。
そう囁いて連理の後を追う静瑠の後ろ姿を見ながら、息をゆっくり吐いた。
どうしよう。
泊まるのは電話さえすりゃ余裕だ。
けど、嬉しいとか全くないんだ。
怖い。
想いが強すぎて二人きりを避けてきた。
連理がいたって、時々抑制が効かなくなりそうだってのに。
広々した、北欧風な洒落たリビングで連理はソファーですっかり寛いでいた。
図々しいやっちゃな。
「静瑠〜飲み物〜」
「うっさいな、もー」
ブウブウいいながら、静瑠が暖かいコーヒーを入れてくれた。
俺は内心ずっと動揺している。