「琉聖…」
あああああ!!
な、名前を呼ぶなあ!
「あ、お、俺、テレビみたいな…韓流!」
焦ってリモコンを手にしようとした俺を、責めるようにじっと見ている。
な、なんなんだよ。
「聞けって。どうしちゃったの?」
諦めて、俺は椅子にドスンと腰を降ろした。
「なにが」
「最近!」
ぐっと身を寄せて、俺を窺い見る。
近い、近いんだよ!
「ちょっと前から思ってたんだ。…琉聖、最近おかしくない?」
「な、なにがだよ」
静瑠は眼鏡の奥の目をすがめて俺を睨んだ。
「俺のこと、避けてる」
…気づかれてた。
くそっ、気づかれてた!
「…避けてなんかねえよ」
「嘘だ。絶対嘘だ。俺…ずっと、ずっと…」
静瑠がパッと顔を背けた。
語尾が震えた。
「何でだよ…何で嘘つくんだよ、俺、なんかした?」
好きだからだよ。
ばかやろう、好きだから避けてんだ!
そう叫べたら。
そう言えさえしたら。
「何にも、してねーよ」
振り向いた静瑠の目が赤かった。
おい…勘弁してくれよ。
「…辛いんだ。俺にとって琉聖は…」
言うな。
「一番の友達だから」
…ばかやろう。