ゆっくり起き上がる。
まだ世界が回ってる。
信じらんない気持ち悪さ。
「吐きそう」
「いいよ、その辺で吐いても」
できるか。
連理は静かに横に座った。
「お前倒れたんだよ、気を失ったやつ初めてみた」
気を失った?
「なんで?」
俺の質問に連理は笑って
「お前じゃないからわかんねえよ、ばか」
そっか。
あ、俺…静留に…
「大嫌いっつったな…」
連理はため息をついた。
「お前って本当にエゴイストだよな。
あれはねーよ、静留が可哀想すぎだろ。
普通、戸惑って当たり前だろ?友達同士がキスなんかすりゃ」
俺は膝抱え込んで俯いた。
「うん」
でも、あの目。
連理を見つめた怯えるような嫌悪の目。
あれはまんま俺に向けられるべき目じゃないか。
「応援する、なんて言いながら否定した。
だから壊したいくらい憎くなった。
もうなんもかも投げ捨てたくなった。
本当に…」
俺は黙った。
連理は促すように俺の頭を撫でた。
「嫌いになりたかった…」
俺の唇から嗚咽が漏れて止まらない。
終わった。
もう友達でいらんない。
いや、友達でいらんないのは俺自身。